D. アグアド「ギターのための新しい教則本」原文と和訳Nuevo Método para Guitarre
D. アグアド「ギターのための新しい教則本」レッスン27
Aguado, Dionisio. Nuevo Método para Guitarre. Madrid, Benito Campo, 1843, p.33.
LECCION 27.
Ejecucion de la apoyatura sencilla subiendo.
132. La apoyatura es una notita cuyo corto valor se toma del que tiene la nota que la sigue, por lo que se ejecuta con brevedad. Su práctica es como la de un ligado de dos notas, pero ejecutado con mucha prontitud. En la apoyatura subiendo, se pulsa la notita y se deja caer el otro dedo en la nota. La apoyatura bajando se ejecuta pulsando la notita, y al instante el dedo que la pisa hace un esfuerzo hácia abajo como en el ligado, para que suene la nota. Se ha de hacer un corto esfuerzo con el dedo que pisa la notita, para que esta se oiga con claridad, sin perjuicio de la brevedad con que se ejecuta.
133. Todas las apoyaturas del Andante de esta leccion son subiendo, y se ejecutan con todos los dedos: el movimiento ó aire de él es despacio para que se pueda poner cuidado en la ejecucion de las apoyaturas. Las semínimas del compás 4.o se pulsan con los dedos pulgar é índice de la derecha; si se pulsan con los dedos índice y medio, se oirá otro efecto en la calidad del sonido. El compás 7.o exige bastante cuidado para dar su justo valor á todas las figuras: al ejecutar el acorde del compás 8.o, conviene poner el dedo índice en ceja, para evitar que se oigan el re y si del compás 7.o, en cuerdas al aire. (Véase la leccion 31.)
En seguida de este Andante se puede tocar el wals de la leccion 28. Despues de haber tocado la 1.a parte se sigue á la 2.a, y se vuelve á la 1.a para concluir en ella.
レッスン27
簡単な上行アッポジャトゥーラの演奏
132 アッポジャトゥーラは続く音符から短い長さが取られた小音符で、短く演奏されます。その練習は2つの音のスラーのようですが、とても敏速に演奏されます。上行アッポジャトゥーラでは小音符が弾かれ、主音符に別の指が落とされます。下行アッポジャトゥーラは小音符を弾いて演奏され、主音符を鳴らすためすぐに押さえた指でスラーのように下に向かって力を加えます。短く演奏されるとはいえ、明瞭に聞こえるために小音符を押さえている指は少し努力をしなければなりません。
133 このレッスンのアンダンテの全てのアッポジャトゥーラは上行で、全ての指で演奏されます。アッポジャトゥーラの演奏に注意を払うことができるように、そのテンポまたはメロディーはゆっくりです。4小節目の4分音符は右手の親指と人差し指で弾かれます。もし人差し指と中指で弾かれれば、音質に異なる効果が聞かれるでしょう。7小節目は全ての音符に正しい長さを与えるためにかなりの注意が必要です。8小節目の和音を演奏する時、7小節目のレとシの開放弦が聞こえるのを避けるためにセーハで人差し指を置くと都合がよいです。(レッスン31を参照)
このアンダンテに続いてレッスン28のワルツを演奏することができます。1番目の部分を演奏した後2番目に進み、終わるために1番目に戻ります。
解説
アグアドのオリジナルから修正したのは次の2点です。
10小節のレにシャープを加えたこと、15小節3拍目のシにシャープがついていたのをレのシャープに変更ことです。
3~4小節目に点線で音をつないでいますが、どちらも3弦でという意味だと思います。一旦、レを押さえている3の指を離し2の指でドを押さえるので音をつなげるという意味ではありません。
アグアドは 「アッポジャトゥーラ(apoyatura)は続く音符から短い長さが取られた小音符で、短く演奏されます」と説明していますが、これはアッチャッカトゥーラ(短前打音)の奏法です。アッポジャトゥーラは長前打音で拍の上で開始し小音符と同じ長さか主要音の半分、3拍分なら2拍までの長さを持ちます。
アッチャッカトゥーラは17~18世紀は鍵盤楽器の装飾法で、その後に短いアッポジャトゥーラに混用されました。(※1)そして19世紀以降は、ごく短いアッポジャトゥーラをさすようになります。(※2)菊池有恒は「19世紀には、非和声音を短く奏する前打音が流行し、やがて小音符に斜線がついて、装飾機能を持った短前打音に発展した。」(※3)と述べています。
アグアド教本(1843年)レッスン27はアッポジャトゥーラの説明で、楽譜の4分音符には小音符に斜め線なし、8分音符には斜め線ありと区別しています。カルカッシ教本(1836年)には「小音符または前打音(アポジャトゥーラ)について」(DES PETITES NOTES OU APPOGGIATURES)の説明で、小音符が小さな8分音符で後者の半分の音価の場合と、小音符に斜めに横切って上から線を引き短い長さの場合があると説明しています。
前述したとおり、この時代はアッポジャトゥーラとアッチャッカトゥーラが明確に区別されておらず、アッチャッカトゥーラという言葉にアッポジャトゥーラの奏法も混用されていました。このアグアドのレッスン27の楽譜も混用されていることが考えられます。アグアドは、斜線のついていない小音符は主要音の半分の長さで弾くという説明をここではしていません。ですが、斜線の有無を区別して書いています。ですので、4分音符についた斜線のない小音符はアッポジャトゥーラ(長前打音)として小音符を8分音符分の長さで弾き、その他の斜線のついた小音符は短くアッチャッカトゥーラとして弾くとよいと思います。
小音符は拍と同時に弾く方法と拍の前で弾く近代的奏法がありますが、カルカッシの譜例で拍と同時と例示されているように、このアグアドの曲も拍と同時でよいと思います。
上行前打音の弾き方は左指を落として叩いて音を出します。なるべくフレットのそばを速いスピードで指骨の先端が当たるようにすると音が出やすいです。
アンダンテですが、アグアドの説明どおりゆっくりと、弾ける速さで練習するとよいです。
4小節はハイポジションで音をとりpとiで弾きます。7小節はそれぞれの音の長さが保たれ声部がつながるように弾いてください。
8小節は前の小節のレとシが開放弦でなっているため、8小節をわざとセーハで3弦のラを押さえることでレとシの音を消音します。
9小節2拍目のレ#ミは3、4で、13小節3拍目のファソレミは1、3、2、4の運指が弾きやすいと思います。
※1 Wikipedia「アッチャッカトゥーラ」
※2 コトバンク「アッチャッカトゥーラ」
※3 菊池有恒『楽典 音楽家を志す人のための』音楽之友社(1979年)p.120
オリジナル楽譜(浄書)
